2009年4月13日月曜日

処方せんなしに向精神薬販売

奈良県の精神科のクリニックの医師が、知的障害者施設の入所者に処方せんを発行しないまま向精神薬を販売したとして4人の薬剤師とともに向精神薬取締法違反の疑いで書類送検されました。厚生労働省の麻薬取締部などは、医師らが診療報酬を得るため十分な診察をしないまま入所者に大量に薬を渡していたとみて調べています。この医師はNHKの取材に対し「処方せんを書くのが遅れたことはあったが診察は適切に行っていた」などと話しています。
書類送検されたのは、奈良県葛城市で精神科のクリニックを営む角田鉄太郎医師(54)と奈良県御所市などの薬剤師4人のあわせて5人です。厚生労働省の近畿厚生局麻薬取締部などの調べによりますと、角田医師らは去年、奈良県にある3か所の知的障害者施設に入所するあわせて57人に処方せんを発行しないまま向精神薬を販売したとして、向精神薬取締法違反の疑いが持たれています。麻薬取締部などによりますと、角田医師は、施設内で入所者の様子を目で確かめるだけで、後日、角田医師から電話で連絡を受けた薬剤師が施設に薬を届けていたということで、一部の施設からは2万錠を超える向精神薬が押収されました。施設の関係者によりますと、入所者の中には症状に関係なく薬を何年にもわたって投与された人もいて、睡眠時間が異常に長かったり、意識がもうろうとしたりするなど薬の過剰投与をうかがわせる症状も出ていたということです。麻薬取締部によりますと、角田医師は調べに対し「報酬を受け取るのが目的だった」と話しているということです。麻薬取締部や警察は、角田医師らが診療報酬などを得るため入所者に知的障害があることにつけこんで、十分な診察をせずに薬を大量に渡していたとみて調べています。角田医師は、NHKの取材に対し「診察時間が長引いたときなど、処方せんを書くのが数日間遅れることがあり、自分の怠慢で反省している。診察は患者の様子を見て回るだけでも、経験があれば1分ででき、適切にしていた」と話しています。(NHKニュース)

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